「オレオレ詐欺は見破れる」という考えは捨てた方がいいかもしれない――。オレオレ詐欺という言葉が登場してから20年。還付金詐欺や「アポ電」など様々な手口が周知啓発されてきたが、被害は後を絶たない。特殊詐欺のリスク認知に詳しい日本大学の木村敦教授(社会心理学)に巧妙な手口や有効な対策を聞いた。
警察庁が2018年にオレオレ詐欺の被害者らに行った調査がある。明らかになったのは、情報を持たない「高齢者像」ではなかった。実際の被害者の96.9%がオレオレ詐欺の手口を知っていたと答えた。
手口を知っているのになぜだまされてしまうのか。
警察庁の調査によると、被害者が相手を信じてしまったタイミングは、「息子(親族)のトラブルを聞く前」が最も多く、7割を占めた。その理由で最も多かったのが「息子の声にそっくりだったから」。
木村教授は「高齢者は聴力や注意力の低下により、電話のようなノイズのある音声から相手を正確に判断することが難しい」と指摘する。また犯人側は、声が異なることをごまかすため、「風邪をひいた」と最初に言うこともあるという。
電話口で犯人は、心理学の技法をまじえて巧妙にだましていく。
例えば、オレオレ詐欺でよく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル