広告大手博報堂の嘱託社員だった女性が、労働契約法で定める無期雇用への転換を防ぐために雇い止めされたとして、同社に社員としての地位確認などを求めた訴訟の判決で、福岡地裁(鈴木博裁判長)は17日、雇用が継続していることを認め、雇い止め後の賃金の支払いを命じた。
判決によると、女性は1988年4月、同社九州支社に入社。2018年3月末まで1年ごとの雇用契約を繰り返し、30年間にわたり経理業務を担当した。
13年4月の改正労働契約法施行で、5年を超えて働く有期契約の労働者が企業に無期雇用への転換を申し込めるようになった。女性は18年4月に申請できる予定だったが、同社は17年12月、次年度以降の契約を更新しないと伝えた。
鈴木裁判長は、同法改正後、同社が契約書に「18年3月末以降の契約を更新しない」と記載した点について「雇い止めの予告とみるべきだ」と指摘。女性は署名押印を拒否すれば契約を打ち切られる立場であり、同社の対応は「社会通念上相当ではない」と結論付けた。
博報堂は「判決文を確認できておらず、コメントできない」としている。
南山大の緒方桂子教授(労働法)は「無期雇用への転換を避けるため、契約書に更新期限を設ける企業は少なくない。契約書への署名押印を理由に安易な雇い止めを行う企業に警鐘を鳴らした判決だ」と話した。(鶴善行)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース