いまにも崩れそうな巨岩が一面を覆い、岩の間からは生暖かい蒸気が噴き出していた。長崎県の平成新山。1990年11月、198年ぶりに噴火した雲仙・普賢岳の火口から出た溶岩が120メートル以上も積み上がってできた溶岩ドームだ。固まっては崩れて火砕流を引き起こし、44人が犠牲になった。噴火から30年となる17日、警戒区域に入った記者が山頂で見たのは、熱を持った「生きた火山」だった。
午前9時、雲仙ロープウェイの妙見駅を出発。自治体や国土交通省の職員、報道関係者ら約100人が列になって登山道を歩くこと約1時間、立ち入りが禁じられる警戒区域のゲートに到着した。平成新山の入り口だ。緑がなくなり、岩だらけの山が現れた。この登山は溶岩ドームの状況を確認し、情報共有する目的で九州大地震火山観測研究センターと島原市が2001年度に始めた。今回で29回目となる。
平成新山は90年の噴火開始以来、普賢岳の火口から出た溶岩が固まっては崩れるのを繰り返してできた。ドーム状の溶岩は1億立方メートル。山頂は普賢岳(1359メートル)より124メートル高くなった。
噴火災害の間、ドームの溶岩が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル