羽場正浩
戦後最悪の火山災害が発生し、13日に損害賠償請求訴訟の判決があった御嶽山。深田久弥の「日本百名山」に数えられた人気の山は、2014年の噴火で一変した。噴火後に登山道や退避施設が整備され、山頂登山もできるようになったが、かつてのにぎわいは戻っていない。
御嶽山はゴンドラリフトや車で7合目まで気軽に行けるため、大勢の登山客を集めていた。長野県の観光地利用者統計調査によると、王滝村側から訪れた人は、噴火前の13年が延べ6万5千人だった。噴火後は、噴火警戒レベルが3から2に引き下げられても登山客は戻らず、15年は8500人に激減した。以降は1万人台が続く。
16年9月、王滝口登山道は避難小屋の補強や登山道の整備が行われ、9合目まで規制が解除された。17年8月に警戒レベルが1に下がり、噴石を避けるシェルターや登山者に情報を伝えるスピーカーの設置など安全対策が進んだ。
今年2月、再び火山性地震が急増し、4年半ぶりにレベル2に引き上げられた。気象庁は火山活動が静穏に戻っているとして6月23日にレベル1に下げた。
木曽町側からは今月1日に山頂登山が可能になり、初日から登山者が頂を踏んだ。愛知県内の男性(36)は「レベルが下がったので日帰りで登りに来た。百名山で3千メートル級。噴火があったけれど、山を登る人には避けて通れない山です」と満足そうだった。今月10日には王滝村側も登れるようになった。
両町村は山頂付近のシェルターを増やし、安全性を高める方針だ。王滝村側の7合目(田の原)と木曽町側のふもと(三岳)に二つの「ビジターセンター」を長野県と建設中で、8月27日に同時開館となる。噴火災害の教訓を伝えながら、御嶽山の魅力を発信する拠点としての役割を担う。(羽場正浩)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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