全国有数の活火山である桜島(鹿児島市)で、噴火警戒レベルが最も高い5(避難)に初めて引き上げられた。24日夜の爆発で大きな噴石が火口から約2・5キロまで飛散。気象庁は、民家がある鹿児島市有村町と古里町の一部を含む3キロ圏に厳重な警戒を呼びかけている。避難した住民らは戸惑いと不安を口にした。
気象庁によると、桜島では18日午前から山体膨張を示すわずかな地殻変動が観測されていた。今回の爆発で、約1時間前からみられた膨張は収縮したが、18日から続く膨張は解消されていない。膨張はほぼ停滞し、より規模の大きな噴火の兆候は今のところないという。
噴石が2・5キロ飛んだのは火口の東側で、民家がある南側に直接危険は及んでいないが、桜島では2・4キロを超えると方向にかかわらずレベル5に上げるルールになっている。噴石が2・4キロを超えたのは2020年6月4日以来。この時は判明したのが数日後で、噴火のおそれが低くなっていたためレベルを上げなかった。
避難指示が出たのは、桜島の全約1750世帯3400人のうち、火口から3キロ圏にかかる33世帯51人。市が島内に開設した避難所には、25日朝の時点で23世帯33人が身を寄せた。桜島と鹿児島市街地を結ぶフェリーは通常運航している。
島内で観測を続ける京都大火山活動研究センター(鹿児島市)の井口正人センター長は「桜島としてはよくある噴火。地殻変動はごく小さく、1914年の『大正噴火』級の大規模噴火にはつながらない。噴石が2・5キロを超えた噴火の記録は過去67年間で20回ほどあり、70~80年代に多かった。2007年の警戒レベル導入以降は比較的活動が落ちていたが、桜島は本来こうした噴火を起こす非常に活発な火山だと認識することが必要だ」と話す。(安田朋起)
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鹿児島市が避難所を設けた高齢者福祉センター東桜島(同市東桜島町)には、避難指示が出た同市古里町と有村町から住民らが避難した。25日午後6時時点で17世帯24人が身を寄せている。
古里町で一人暮らしをする西村妙子さん(90)の自宅には24日夜、市内や県外に住む家族や親戚から立て続けに「大丈夫?」と安否を気遣う電話があった。避難所での夜は眠れず、急な知らせに着替えも持たずに来た。「せめて3日間ほどで避難指示が解除されてほしい。短時間でも一度家に帰りたい。それだけです」
古里町の町内会長を務める岩森正さん(70)は噴火を知り、近所の高齢者らに電話で避難するよう伝えた。警戒レベル5への引き上げは「以前とは警戒レベルの出し方が変わってきていると思うが、命にかかわることだから仕方がない」と理解を示す。
ただ、「いきなりレベル3(入山規制)から5(避難)に上がった。情報が分からないまま避難した人も多かっただろう。噴火の前に、もう少し気象庁は住民に情報を伝えてほしかった」と話した。
下鶴隆央市長は25日午後に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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