笠原雅俊
こどもの日(5月5日)を前に、高知県の四万十川に架かる津大橋のたもとで、小さなこいのぼりの群れが初夏の空を元気に泳いでいる。対岸同士に住む2人の女性が、ふる里を元気にしようと「100円ショップ」で買った約300匹のこいのぼりを飾り付けている。
「過疎化が進むふる里を明るく元気にしよう」と約10年前からこいのぼりを泳がせているのは、真っ赤な橋でつながる四万十市西土佐津野川と橘の両地区で暮らす、「いわき食堂」を営む岩城千恵巳さんと親友の田辺三妃さん。仕事の合間にコツコツと飾り付けた。
当初は、地域で子供が成長して使われなくなった立派で大きなこいのぼりを飾っていた。しかし、徐々に古くなり、破れるなどしたため、数年前から愛媛県内の100円ショップに出向き、ミニこいのぼりを購入しているという。
約30センチの小さなこいのぼりは食堂前や橋、田辺さんの自宅前に取り付けられ、映画「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」のシーンのように揺れる。風が強い日ほど、こいのぼりは勢いよく泳ぐ。
岩城さんは「四万十川が流れるふる里を少しでも明るくしたい。小さなこいのぼりは、ここに来たら何か楽しいことがあるよという目印です」と空を見上げた。(笠原雅俊)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル