国の主張「権利乱用」 強制不妊手術訴訟、仙台高裁も国に賠償命じる

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で不妊手術を強いられたとして、宮城県の男性2人が国に計6600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、仙台高裁であった。小林久起裁判長は、旧法を違憲と判断し、国に3300万円の賠償を命じた一審・仙台地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。

 小林裁判長は、不法行為から20年が過ぎると賠償請求権が消える「除斥期間」の適用を求めた国側の主張そのものを「権利の乱用として許されない」と指摘。「賠償請求権は、時効によって消滅することはない」とする判断を示した。

 全国12地裁・支部で起こされた同種訴訟で、高裁判決は7件目。過去6件のうち4件は、一定の条件を満たせば除斥の適用を制限できるなどと判断して賠償請求を認めた。残る2件は、除斥期間を適用するなどして請求を退けており、判断が分かれている。

 小林裁判長は、旧法について「特定の疾患を理由に優生手術を強制するのは、個人の尊重という憲法の基本理念に反する」とし、一審判決と同じく、幸福追求権を定めた憲法13条や法の下の平等を保障した憲法14条などに違反するとした。

 その上で、賠償請求権の制限を巡る民法の規定について、除斥期間ではなく、当事者が主張することで効力が生じる「時効」の定めにあたると解釈。憲法に反する人権侵害の政策を進めた国が、原告の賠償請求権が消滅したと主張することは、権利の乱用にあたると判断した。仮に民法の規定が除斥期間を定めたものだとしても、適用を制限するのが相当だとした。

 高裁判決前に実名を公表した原告の千葉広和さん(75)=仙台市=は「心からうれしい。国は上告しないでほしい」と話した。(根津弥、小山歩)

「ここまでやっと」 喜びにじませる原告

 国が原告の損害賠償請求権が…

この記事は有料記事です。残り992文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment