磯部征紀、今泉奏、高木真也
未着工のリニア中央新幹線静岡工区をめぐり、科学者らでつくる国の有識者会議は19日、静岡県が懸念する大井川の流量の減少について、十分な対策をとれば中下流域への影響は抑えられるなどとする中間報告をまとめた。報告を受け、国土交通省は近くJR東海に対し、地元と丁寧に協議を進めるよう行政指導する方針だ。法令違反などがない中で異例の指導となる。
JR東海は品川―名古屋間の2027年の開業を目指していたが、静岡県は、トンネル工事で湧き出た地下水が流出することで、生活を支える大井川の水が減ることを懸念し、県内での着工を認めていない。JR東海は、工事やその後の試験などに7年半ほどかかるとしている。
報告では、工事で出た湧き水を導水路ですべて川に戻せば、中下流域の流量は維持されると結論づけた。静岡県は工事中に湧き水の一部が山梨県側に流出することを懸念していたが、有識者会議は、山にたまっている豊富な地下水に補われると分析した。
一方、大井川流域の住民が水不足で苦労した歴史や、これまでのJR東海の説明では地元の納得を得られなかった経緯もふまえ、「地域の不安や懸念が払拭(ふっしょく)されるよう、真摯(しんし)な対応を継続すべきだ」と指摘。流出した湧き水を大井川にすべて戻すための具体的な方策について、JR東海が静岡県や関係市町と協議するべきだとした。
また、解析には不確実性があ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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