国交省OBと現役「話したことない」はずが 人事巡りメール重ねる

 国土交通省OBの人事介入問題に関連し、国交省の現役職員とOBとのやりとりが確認された。OB同士が「人事介入」があった時期に、連絡を取り合っていたこともわかった。それぞれ、やりとりの目的は何だったのか。問題の舞台となった企業が設置した有識者による検証委員会は、天下りを受け入れた企業側の問題も指摘した。(笹山大志、原田悠自、東郷隆)

 「現職の皆様方のプライドと信頼をきちんと担保するためにも、それなりの対応をされる方がよろしいのかなと個人的に思う」

 28日、会見を開いた検証委委員長の八田進二・青山学院大名誉教授は、国交省がどう対応すべきかを問われ、こう述べた。

 これまで国交省は、関係部署の現役幹部らに聞き取った結果、「現職の関与は確認できなかった」と説明してきた。省側の意向だとして空港施設社の副社長に自らが就くことを主張した山口勝弘氏(64)からも聞き取り、「航空局や国交省の現役の方と話をしたことは一切なかった」と説明を受けた、としていた。

 しかし、検証委の調べで、山口氏が国交省の現役職員から、公表前とみられる人事情報や省職員の経歴の情報を受け取っていたことが明らかになった。検証委が、パソコンなどのデータ復元作業をしたうえで解析。確認された現役職員とのやりとりをうかがわせるメールは5通だった。最初の2通は、山口氏の副社長就任が内定した直後、国交省航空局長らとの面会などを調整する内容だった。

 3通は国交省の現役職員から受信していた。正式に副社長に就任した2021年6月29日に受信した、大臣官房総務課からのメールは「国交省職員の入省年次やポストが整理されたもの」(検証委)だったという。6月30日と22年12月28日には、航空局職員管理室人事係から、1~4日後に発令される航空局の人事異動の対象者の名前や役職データを受け取っていた。未公表段階の情報を受け取っていた可能性がある。こうしたデータが消去されていたかどうかは不明という。

 国家公務員法の「あっせん規制」では、再就職を目的に現職職員がほかの職員や退職者の名前や職歴を企業側に提供することを禁じている。八田委員長によると、検証委でもその観点からの議論もあったが「私たちの任ではない」と述べた。

 山口氏をめぐっては、元国交事務次官で東京地下鉄(東京メトロ)会長の本田勝氏(70)が22年12月、空港施設社を訪ね、社長にするよう要求していた。

 国交省の国会などでのこれまでの説明によると、山口氏は一連の問題に関連する本田氏とのやりとりは「ない」と答えていた。本田氏も、山口氏との関係について取材に「退職後はほとんど接触はない」と説明してきた。

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 しかし、検証委が調べた山口…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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