前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)が、動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅迫した疑いで逮捕された。警視庁の捜査で、容疑者側が脅迫行為を含む動画で計1億数千万円を得ていたことが判明。捜査関係者は「もはや脅迫ビジネスだ」と指摘する。
Tシャツ姿の東谷容疑者がカメラに向かい、早口でまくし立てる。複数の芸能人の名前を挙げ、親しいとアピールする。一方で複数の男性の名を出し、詳しい根拠は示さないまま断定口調で言った。「極悪非道なことをしています」「最後通告です」「やってきたことを晒(さら)します」
動画投稿サイト「ユーチューブ」で2022年4月までに公開された動画だ。東谷容疑者は、滞在先のアラブ首長国連邦(UAE)で撮影したこの動画で、デザイナーの男性を脅迫したとする暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)容疑などで今月4日、警視庁に逮捕された。22年2月と8月にも、ユーチューブ上で俳優と実業家を脅迫した疑いが持たれている。8月は参院議員だった。
捜査関係者は「逮捕の根拠には、口には出せないようなひどい言葉も含まれている」と明かす。
被害者のデザイナー男性「事実無根」
デザイナーは4日、「私に関する配信内容が事実無根であったことが一日も早く明らかになることを希望いたします」とのコメントを出した。
東谷容疑者の動画発信の裏では、多額のお金が動いていた。
ユーチューブで発信する人は、企業が運営会社側に出す広告料などの一部を受け取る仕組みがある。捜査関係者によると、東谷容疑者側には22年4~8月、運営会社側から1億円余りが振り込まれていた。
捜査の中で、東谷容疑者に「便乗」して稼いでいた人が少なくとも数十人いたことも判明した。
東谷容疑者の動画は、一度発信された動画を編集して再投稿する「切り抜き動画」の素材としても知られていた。再投稿した人も広告料などの一部を受け取れるためだ。
東谷容疑者らは、300~500人規模のグループLINEを作って切り抜き動画の作成を促し、得られた収入の半分を指定口座に振り込むよう求めた。数千万円が容疑者側に支払われていたという。
合計1億数千万円のお金は、東谷容疑者の知人が実質管理する合同会社の口座に集約され、容疑者のほか、個人や法人の複数の口座に流れていた。同庁は協力者がいたとみている。
3日夜、ドバイ。東谷容疑者は突然、UAEの当局者に囲まれて拘束され、空港に送られた。日本の警察がUAE当局に引き渡しを要請した1週間ほど後のことだった。
警視庁の捜査関係者は言う。「海外からの不法な発信で金を得るのは許されない。SNSでの発信の場が増え、起こるべくして起こった事件。これはゴシップではなく、もはや『脅迫ビジネス』だ」(山口啓太、福冨旅史)
過激動画で稼いだ1億数千万円 ユーチューブ側の対応は
東谷容疑者は、ユーチューブ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル