新型コロナウイルスの影響で途絶えていた国内クルーズ船が運航を再開し、全国第1便が26日、佐世保港(長崎県佐世保市)に入港した。8カ月ぶりに動き出したクルーズ船に、地方経済の期待は大きい。ただ、かつて盛況だった国際クルーズの再開には課題も多く、先は見通せていない。
独自マニュアルにPCR… 厳戒体制下の再開
乗客約200人を乗せた「にっぽん丸」(2万2472トン)は25日、愛媛県の新居浜港を出発し、26日朝に佐世保港に到着。乗客らは港に降り立つと、検温をうけてからバスに乗り込んで観光に向かった。
運航する商船三井客船(東京)の村上寛常務は「再開は感慨深い。8カ月は非常に長かった。年内は2泊3日のクルーズで対応したい」と話した。乗客は26日夕まで主に佐世保周辺を観光し、27日に愛媛に戻る日程だ。
クルーズ船をめぐっては、今年2月、横浜港に停泊したダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が発生。同月26日の横浜港への寄港を最後に、船会社は乗客を乗せたクルーズ船の運航をとりやめていた。
再開にむけて、業界団体の日本外航客船協会と日本港湾協会は9月、国土交通省の監修の下、運航に必要な感染対策をまとめた指針を作成して発表した。
乗船2週間前から体温をふくむ体調不良の有無を確認するほか、乗船中はマスクの着用を求める。寄港地に着いても発熱すれば下船を不可とするなど、乗船前、乗船時、乗船中など細かく対策を定めた。
指針をふまえ、商船三井客船はさらに独自のマニュアルを作り、船舶の検査などを担う日本海事協会から運航再開の認証を受けた。
今回の乗客は、定員の4割の約200人に絞ったうえ、乗員・乗客の全員が乗船2日前にPCR検査で陰性を確認。同室の人以外は濃厚接触しないよう区域を分けるゾーニングを徹底した。感染が確認されたらすぐ発着港に戻ることも決めて臨んだ。上陸後に症状を訴える人が出たら船内医師の診断が出るまで隔離することも決めていた。
出航前までに「トライアル運航」も2度済ませた。
港を管理する佐世保市も受け入れ条件を事前に決め、寄港を認めた。市内の新規感染者数が週7人以上となったら、医療機関の逼迫(ひっぱく)を避けるため寄港許可を取り消す方針も決めていた。
佐世保市にとっては1月末以来、9カ月ぶりとなるクルーズ船の寄港。2018年度の寄港回数は、国際クルーズ船をふくめて98回にのぼった。19年度は年度末にコロナで15隻がキャンセルするなどして69回に後退した。
日本船は寄港するクルーズ全体の約1割だが、市中心部の商店街組合の川尻章稔(あきとし)理事長は「再開後の第1便は光栄。日本人客は日用品も土産に買ってくれる。国際クルーズの再開も期待したい」と話した。
郵船クルーズの飛鳥Ⅱも来月、横浜発着の国内クルーズ再開を予定している。(原口晋也)
国際クルーズ、ダイヤモンド・プリンセスで課題露呈
一方で国際クルーズ船の再開の…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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