かつては日本中で食べられていたのに、いまは「幻」と呼ばれているノリがあります。養殖に挑戦する三重県の伊曽島漁協では、一時は1枚170円もの値をつけましたが昨シーズンは原因不明の全滅。「復活の兆しがみえている」という今シーズンの見通しと、難しい養殖に挑むわけを漁協組合長の服部茂さん(66)に聞きました。
――アサクサノリの養殖に取り組んでいます。
「2011年に三重県伊勢市の沿岸で野生株が見つかり、13年に養殖をはじめました。主に贈答用として、『伊勢あさくさ海苔(のり)』のブランドで出荷しています。ほかの地域でもアサクサノリを手がけているところがありますが、私たちは収穫後にDNA検査をするなど厳しい基準を設けています。普通のノリと比べ、甘みや香りの評価が高く、歯切れや口溶けがいいのも特徴です。17、18年の競りでは1枚あたり165円、170円と、その漁期の国内最高値をつけました」
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――昨シーズンは不漁でした。
「アサクサノリは全滅、一般的なスサビノリも出荷枚数は前年比で1割以下と激減しました。ノリ漁師になって40年で初めての記録的不漁でした。原因ははっきりしません。例年より潮位が高めだったことや1日の海水温の差が激しかったことが指摘されています。下水処理能力が上がって海がきれいになりすぎていることも一因だと思っています。豊かな海ときれいな海は違います。ノリが採れる漁期は年々短くなっています」
――今期はいかがでしょう。
「まだ漁期のなかばですが、復活の兆しが見えています。今期は14人がアサクサノリに挑戦していますが、すでに数人が収穫しました。スサビノリを含めると、漁協全体で出荷枚数は前年同期比2・6倍。昨シーズンは黒くならなかったり穴が開いたりしたノリも多かったのですが、今期は質もいい。金額ベースでは8・3倍まで回復しています」
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「網を張る高さを潮位にあわせて変えたほか、ノリを魚に食べられないように防御用の網もはることも検討しています。これまでは魚に食べられても気にする必要はないくらい採れていたのです。漁期が終わるまでは気が抜けません。天候にも左右されます。例年の7割ほどまで回復すればいいと思っています」
――漁協の未来をどう描きます…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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