国の天然記念物、北海道釧路市の春採(はるとり)湖に生息する緋(ひ)色のヒブナが、約100年前に放流された金魚と在来のギンブナの交雑によって生まれたという研究成果を理化学研究所や釧路市立博物館などの共同研究グループがまとめた。これまでヒブナはギンブナの突然変異とされてきた説が覆された。
日本人にはなじみ深い淡水魚の一種であるフナ。一般的な黒や銀色とは違う緋色の体色が特徴のヒブナ。春採湖はヒブナの生息地として、1937年、国の天然記念物に指定されている。
共同研究グループなどによると、フナは「オスとメスで有性生殖する通常の2倍体」と「メスだけでクローン繁殖する3倍体(クローンフナ)」が全国の河川や湖沼で共存している。このうちクローンフナは一般に「ギンブナ」として知られている。
クローン繁殖のギンブナは、オスの精子の刺激は受けるものの遺伝的には何も受け継がず、メスだけが増えていくので「通常の有性生殖のフナや金魚とは交雑しない」とされてきた。それ故、春採湖のヒブナは「ギンブナの突然変異」によって赤い体色を持って生まれたというのが定説だった。
一方、春採湖には106年前…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル