衆院選と同時に実施された最高裁裁判官の国民審査に注目が集まっている。今回、夫婦別姓を認めない民法の規定を「合憲」とした裁判官に罷免(ひめん)を求める票が多く集まったが、それには地域的な特徴も見られた。「罷免票」の出方からは、それぞれの場所に住む人々の関心や不満が浮かび上がってくる。
首都圏で「×」顕著
国民審査はやめさせたい裁判官に×印を付け、有効票の半数を超えた人が解職(罷免)される仕組み。これまで実際に罷免された裁判官はいない。
最高裁は今年6月、夫婦同姓を定めた規定が憲法24条の「婚姻の自由」に違反しないとの判断を示した。今回の審査対象になった11人の中で、この裁判に加わった裁判官は7人。このうち長嶺安政、岡村和美、林道晴、深山卓也の4氏が「合憲」と判断し、残る3人は「違憲」とした。
総務省が1日に発表した国民審査の結果では、×印がつけられた「罷免票」の割合の「ワースト4」は、合憲派の4人だった。
7人のうち、違憲派3人の罷免票の割合は、6・71~6・88%。合憲派の4人は7・27~7・85%で、違憲派より平均0・76ポイント多かったが、罷免に必要な50%には遠かった。この裁判に加わっていなかった4人では、5・97~6・24%だった。
この判決に対する有権者の関心は、首都圏で比較的はっきりと見えた。
罷免票の割合について、合憲派の平均から違憲派の平均を引いて差をとると、東京都が2・25ポイントで全国最大。ついで沖縄県が1・52ポイント、神奈川県が1・50ポイント、埼玉県が1・04ポイント、千葉県が0・99ポイントとなった。5位以下だと1ポイントを下回り、14位以下の34府県では0・5ポイントに満たなかった。
今回の国民審査に先立って、夫婦同姓の規定を合憲とした裁判官を罷免するよう呼びかける動きが、ツイッターなどのSNSであった。合憲派の名前が覚えられるように、4人の名字の一部をとった「長岡村の林は深い」との一文をつくって、彼らに対する「『×』をお願いします」とする投稿が拡散された。審査の結果を見る限り、有権者から一定の反応はあったものの、都市部以外での広がりはあまり大きくなかったことがわかる。
沖縄の罷免要求、全国の2倍超
地域ごとの違いは、夫婦別姓問題に限らない。全体の有効票に占める罷免票の割合をみても、都道府県ごとに最大4倍の開きがある。
最も高いのは14・80%の沖縄県で、全国平均の約2・2倍。このほか、上位には関東や近畿などの大都市圏が多い。最少は福井県で、3・70%だった。
沖縄県で罷免票の割合が高かったのは、今回だけではない。2012年の国民審査では11・36%で全国2位だったが、14年では16・58%と急伸。2位の北海道に3・85ポイントの差をつけて1位だった。17年と今回では低下しているが、ほかの都道府県に比べて罷免を求める割合が突出して高い傾向は変わらない。
司法行政に詳しい明治大の西…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment