ルール通りの計算で相続税を申告しても、国税側が「著しく不適当」と判断すれば見直されることもある――。「伝家の宝刀」と呼ばれる国税の特別な手法の是非が、民事裁判の争点になっている。適用基準があいまいとの指摘もあるなか、最高裁が初の司法判断を近く示す見通しだ。
問題となったのは、東京都杉並区と川崎市のマンション2棟の評価額。いずれもJR荻窪駅や川崎駅から徒歩約5~13分にある好立地物件だ。
この2棟と土地は、不動産会社代表だった北海道の90代男性が2009年に13億8700万円で購入。12年に遺産相続した子どもたちは、路線価をもとに不動産の評価額を「約3億3千万円」と算出した。購入時の銀行からの借入金などを差し引き、「相続税はゼロ」と税務署に申告した。
だが、国税がこれに「待った」をかけた。購入額と評価額の差の大きさや、借入金を差し引くことで相続財産が圧縮された点に着目し、合法ながらもあまりに露骨な節税策だと考えた。国税側で実施した不動産鑑定で本来の評価額を「約12億7千万円」と判断して、16年に約3億3千万円の追徴課税をした。
これに対し子どもらは翌17…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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