輸出の際に消費税が還付される制度を悪用するなどして行われる、消費税の不正還付。この還付金を、国税当局が取り戻せない事態が相次いでいる。不正の疑いがあって還付を保留したくても、法令は早期の還付を原則としているからだ。
東京国税局は昨年10月、健康食品を中国などに輸出する「RAF」(東京都港区)が消費税約2億円の不正還付を受けたと認定。だが、同社はその9カ月前に還付金を社外流出させていたうえ、差し押さえられる資産も乏しいため、徴税のめどは立っていない。
昨年12月には、金地金の輸出販売会社の男性社長が消費税約6100万円の不正還付を受けたとして東京地裁から実刑判決を受けた。還付金の大半を遊興費などに使ったといい、全額の返金は期待できないという。
国税庁によると、2020年度(20年7月~21年6月)に追徴課税された消費税の不正還付の総額は約34億円。このうち徴収できなかった金額の統計はないものの、国税関係者は「不正に還付金を得た後に費消する『持ち逃げ』が次々と顕在化している」と指摘する。
なぜ、こうした事態が起きるのか。
不正還付は輸出免税制度を悪…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル