警察庁は26日、安倍晋三元首相の国葬の警備や要人警護のため、最大時約2万人の警察官を動員すると発表した。警視庁の約1万7500人に加え、全国の道府県警が約2500人を応援派遣する。
約2万人の態勢は、今年5月の日米豪印(クアッド)首脳会合の約1万8千人を上回り、2019年10月の即位礼正殿の儀の約2万3千人に匹敵する規模という。
安倍氏が銃撃され死亡した事件を教訓に、警察庁は8月、要人警護のあり方を全面的に見直した。これまで警護は都道府県警に原則任せていたが、警護の計画を警察庁が審査するなど警察庁の関与を強めた。今回の国葬は見直し後、初めての大規模な行事となる。
今回は国内外の要人の警護の態勢を厚くし、応援の警察官のうち数百人は、警視庁のSPとともに警護を担当する。
警察庁は、海外からの要人の来日が本格化したこともふまえ、26日に警備局長を長とする「警備対策室」を設置した。海外要人の多くが離日する29日まで置かれ、国葬当日の27日は露木康浩長官を長にして臨む。
警護や警備の中心を担う警視庁は27日に大石吉彦警視総監を長とする「最高警備本部」を設置する。最高警備本部は最近では、昨年の東京五輪・パラリンピックの開閉会式や、即位礼正殿の儀などの際に設置された。(編集委員・吉田伸八、吉沢英将)
過去の大規模警備の態勢と警備費用
(態勢はいずれも最大時の人数。警察庁などによる)
・1989年2月 大喪の礼 約3万2千人、約24億円
・2008年7月 主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット) 約2万1千人、約150億円
・2016年5月 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット) 約3万3千人、約157億円
・2019年6月 主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット) 約3万2千人、約124億円
・2019年10月 即位礼正殿の儀 約2万3千人、約38億円
・2022年9月 安倍晋三元首相の国葬 約2万人、約8億円の見込み
警視庁の「最高警備本部」の主な設置例
・1991年4月 ゴルバチョフ・ソ連大統領(当時)来日
・1993年7月 東京サミット(主要国首脳会議)
・1999年7月 全日空機ハイジャック事件
・2019年10月 即位礼正殿の儀
・2021年7~9月 東京五輪・パラリンピック開閉会式
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル