【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は17日、国防総省がホワイトハウスに対し、在韓米軍の規模縮小に向けた複数の選択肢を提示したと報じた。「世界規模の米軍の展開態勢の見直しの一環」(米軍当局者)とされる一方、同紙は、トランプ政権が大幅な増額を求めている在韓米軍の駐留経費負担をめぐる韓国政府との協議が難航していることが背景にあるとの見方を示した。 在韓米軍の駐留規模は約2万8500人。トランプ大統領は2017年に就任以降、韓国に駐留経費負担の増額を求め続け、19年は前年比8・2%増の9億2600万ドル(約1027億円)の負担で合意した。 しかし、トランプ氏は20年の負担額として韓国に50億ドルを要求。同紙によると韓国の文(ムン)在(ジェ)寅(イン)大統領は、駐留経費をめぐる合意は通常、最大5年ごとに更新されるため、総額50億ドルを5年に分け、最初の年に負担額を13・6%増、その後は毎年7%増とする折衷案を提示した。 しかし、トランプ氏がこれに加えて6年目に13億ドルを支払うよう追加要求を出したため、文氏が拒否。米政権による在韓米軍の縮小検討は、文氏の対応への不満が引き金になっている可能性がある。 在韓米軍駐留経費の負担を定める協定は昨年末に期限切れとなっている。 国防総省の提案は、ホワイトハウスから昨年秋、世界各地からの米軍撤収に関し当面の選択肢をまとめるよう要請を受けたもので、今年3月に提出された。 トランプ政権は先月、ロシアに対抗する北大西洋条約機構(NATO)軍の主軸であるドイツ駐留米軍を現行の約3万4500人から2万5千人規模に縮小する方針を決定しており、議会や専門家からは「同盟重視」の立場から超党派で懸念の声が強まっている。
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