国外財産調書制度が導入された背景には、実態のつかみにくい「国外マネー」を把握したいという国税当局の狙いがある。国際的な課税逃れへの対策として、世界各国の金融口座情報が自動的に交換される「CRS(共通報告基準)」の日本での運用も昨年から始まり、国税当局は富裕層への監視を強めている。
同制度開始当初の平成25年分の国外財産は5539件、総額2兆5142億円だったが、29年分は9551件、約3兆6662億円までに膨れあがった。
一方、CRSには、昨年末時点で102カ国・地域が参加を表明。自国に口座を持つ非居住者の残高や利子などの情報を参加国間で交換する仕組みで、日本は昨年、海外の口座情報約55万件を入手した。
国税当局は、CRSで得た口座情報と国外財産調書などを突き合わせて分析することで、国内の富裕層が保有する海外資産を把握。タックスヘイブン(租税回避地)などを利用した税逃れの解明を目指す。
こうした税逃れを放置すれば、税制への信頼が揺るぎかねず、国税当局幹部は「節税対策に精通している富裕層は多く、資産運用が多様で国外で運用されるケースも少なくない。的確に課税し、国民の負託に応えたい」としている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース