福岡県中間市の保育園で、園児が炎天下のバスに閉じ込められて死亡した事故から5日で1週間が経つ。これまでの取材から、過失の重なりが、取り返しのつかない悲劇を生んでしまった実態が見えてきた。(板倉大地、城真弓、島崎周)
事故は7月29日に起きた。県警や市、園側、保護者らへの取材によると、中間市の双葉保育園に通う倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)は午前8時ごろ、迎えに来たバスに乗り込んだ。運転していたのは園長の40代女性。「よろしくお願いします」とあいさつし、母親に手を振った。
バスは1歳児4人を含む7人の園児を乗せ、午前8時35分ごろ園の駐車場に到着した。園長は出迎えた職員とともに子どもたちをバスから降ろした。
だが、1人の女児がぐずった。園側によると、園長はバスの入り口付近で女児をあやしながら車内を見回したが、冬生ちゃんがいた後方の座席に姿が見えなかったという。園長と職員は冬生ちゃんも降りたと思い込み、バスを施錠し、駐車場から離れた。
冬生ちゃんが見つかったのはその約9時間後。帰りのバスに冬生ちゃんが乗っていないことに母親が気づき、連絡を受けた園長が午後5時15分ごろ、そのまま駐車場にとめられていた行きのバスの中で見つけた。
死因は熱中症で、死亡推定時刻は午後1時ごろ。この日、隣接する北九州市八幡西区の最高気温は33・1度だった。
園はなぜ、閉じ込めに気づかなかったのか。
バスに閉じ込められ、亡くなった冬生ちゃん。事故から1週間、幼い命を失わずにすむはずだった機会が見過ごされていたことがわかりました。記事の終盤では専門家とともに考えます。
第1の過失は、降車後の車内確認だ。
本来は忘れ物などの確認のた…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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