土木会社に「内田洋」で40年 海外渡航確認されず 桐島聡名乗る男

独自

比嘉展玖 三井新

 1974、75年に起きた連続企業爆破事件で、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されている桐島聡容疑者(70)を名乗った男が、「内田洋(うちだひろし)」の偽名を使い、約40年間にわたり神奈川県藤沢市の土木会社で住み込みで働いていたことが捜査関係者への取材でわかった。事件後に海外に渡航した形跡は確認されておらず、警視庁は身分を偽りながら国内で半世紀、逃亡生活を送っていたとみて調べる。

 捜査関係者によると桐島容疑者は広島県出身。高校卒業後に上京し、明治学院大学に入学した。過激派集団「東アジア反日武装戦線」のグループ「さそり」のメンバーになり、連続企業爆破事件に関与した疑いがある。そのうち75年4月に東京・銀座のビルであった韓国産業経済研究所の爆破事件の容疑者として翌5月に指名手配された。

 桐島容疑者を名乗る男は「内田」の偽名を使い、80年代から藤沢市の土木会社で働き始めた。住み込みで働いていたが、会社側は桐島容疑者である可能性を把握していなかった。事件後、海外への渡航歴も確認されていないという。旅券などで身分が露見するのを避けたとみられる。

 今月、男は体調不良となり、土木会社から神奈川県鎌倉市の病院に搬送された。保険証などの身分証はなく、「内田」と名乗って入院したが、25日になって病院側に「自分は桐島聡だ」と明かした。男は末期がんで重篤な状態といい、「最期は『桐島聡』で死にたい」とも話したという。

 捜査関係者によると、男は指名手配写真より髪は短く薄めで、痩せ形。警視庁が桐島容疑者の特徴として公表している身体的特徴によく似ているという。桐島容疑者が関わった疑いの韓国産業経済研究所爆破事件についても話しているという。

 警視庁は男が桐島容疑者本人かどうかの確認を進めている。桐島容疑者の指紋の登録はなく、DNA型鑑定などで親族と照合する必要があり、結果が出るまで少なくとも数日かかるとみられる。(比嘉展玖、三井新)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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