出張や休暇で遠くへ行ったとき、同僚を気遣い、お土産を買って帰る――。そんな慣習がある職場は少なくない。でも、そもそも土産選びは仕事なのだろうか。
週末の東京駅。岩手県の建築会社で営業職として働く女性(43)は、お土産がつまった袋をかかえ、新幹線の乗り場近くの柱にもたれかかった。
「はー、疲れた」
職場で配りやすいよう、個包装されたお菓子が30個入ったものを2箱、上司に渡すための少し高級なパウンドケーキを2箱、家族のためのどら焼きを1箱。
久しぶりの東京出張だった。友人と会う時間を減らしてまで土産を買う。1時間かかり、1万円を費やした。
「職場にお土産なんて持っていきたくない」と女性は打ち明ける。「自分のお金と時間を使って、サービス残業みたいなもの。なのに、だれも仕事とは思っていません」
土産を買ってこなかった同僚が、「ケチね」と陰口をたたかれていたのを見たことがある。定番より少し高め。直近で誰かが買ってきていないもの。話題の店であれば行列ができていても並ぶ。そんなに気遣って購入しているのに、1カ月たっても、机の上に、何個か余っていることがある。
「あれこれ考えると、結構お金も使っているし、神経を使う。仕事と断定できる政府はいいですよね」
岸田文雄首相は1月の訪英をめぐり、政務秘書官を務める長男の翔太郎氏(32)が公用車を使って土産を買い、観光地を訪れたことを「公務」と国会で明言した。土産は閣僚に向けたもので、ポケットマネーで買ったという。中身は高級ブランドのネクタイとみられている。
職場へお土産を買うのは、仕事のようで仕事ではない、という女性。一方で、「公務」と明快に言い切った岸田首相。その差はどこから来ているのでしょう。モヤモヤを解消すべく、記者は土産の起源から探りました。
なぜ、土産選びが「仕事」と…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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