沖縄県は20日、米海兵隊基地「キャンプ・ハンセン」(金武(きん)町など)で19、20両日、計31人の新型コロナウイルス感染が確認され、同基地でのクラスター(感染者集団)は計186人になったと発表した。基地内で働く日本人従業員で、オミクロン株の感染も新たに判明。県はオミクロン株感染が基地内で広がっている恐れがある、との見方を示した。
県によると、19日に公表した米軍関係者の感染で所属基地が不明だった30人は29人がキャンプ・ハンセン所属で、20日も同基地で新たに2人の報告があった。
一方、オミクロン株への感染は計4人となり、いずれも同基地と関わりがある。新たに判明した基地従業員はうるま市に住む40代女性で、最初の基地従業員の50代男性の濃厚接触者だった。ただ、遺伝子レベルの詳しい解析の結果、感染源が異なる可能性が高いという。
国立感染症研究所も、県に対し、4人がいずれもキャンプ・ハンセンとの関連があることや、県内のほかの地域で感染が広がっていないことなどから、基地内でオミクロン株の感染が広がっている可能性があると伝えたという。
玉城デニー知事は20日、臨時に開いた記者会見で米側の対応について「(危機感について)温度差がかなりある」と指摘。21日にも日本政府と在日米軍に対し、感染収束までの米本国からの移動停止や、キャンプ・ハンセンの米軍人・軍属の基地外への外出禁止、変異株のスクリーニング態勢構築などを要請する考えを示した。
米軍関係者は日米地位協定に基づき日本側の検疫を受けずに入国できるが、米軍基地内では、ワクチン接種済みであれば、米本国から到着した直後の行動制限期間でも、基地内での行動が自由となっていることがこれまでに明らかになっている。マスク着用も徹底されていないとみられる。
玉城知事は「基地内において十分に感染症対策が徹底されておらず、オミクロン株による感染が基地の従業員や周辺住民をはじめ、県内へ拡大することになれば、県民の心身を脅かし、今までの懸命の努力を水泡に帰すような事態を招くこととなる。絶対に看過できないと考えている」と語った。
一方、県がキャンプ・ハンセンで働く基地従業員らに対してPCR検査を呼びかけたところ、18、19の両日で計612人が検査を受けた。基地従業員3人と、感染者との接触者1人の陽性が判明し、オミクロン株感染か調べている。(木村司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル