山口啓太、浪間新太
発生から3日で1カ月となった静岡県熱海市の大規模土石流。日本有数の観光地を襲った災害は、20人以上の命を奪っただけでなく、地域が大切にしてきた「つながり」も壊した。それでも前を向き、コミュニティーの再生のために動き出す人もいる。(山口啓太、浪間新太)
熱海市伊豆山の岸谷(きだに)地区にあるミカン畑。高橋昇さん(80)は、土石流が下った逢初(あいぞめ)川近くの自宅が被害を免れた。ただ、現在も立ち入りが禁止され、避難所から畑に通う。
土石流が起きた伊豆山のうち、特に被害が激しかったのが岸谷地区。住宅が流されるなど多くの家屋に被害が出た。
「たとえ家が残っても被災前の日常はもう戻らないよ」。高橋さんはため息をつく。30年ほど前から半年に1度のペースで地区の住民ら20~40人ほどでゴルフ大会を楽しんできた。20~80歳代と幅広い年代の住民が参加して交流する機会だったが、災害をうけて次回は中止に。「大事なつながりみたいなものはみんな土砂に持ってかれちゃった」
同地区の男性(54)も自宅の被害は逃れたが、知人の多くは家を流された。「顔を合わせてもどう声をかけてよいか分からない」
子どもの頃、地元の同世代や…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル