地方議会が議員に科した出席停止処分の適否が、裁判所の審理の対象になるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は25日、「裁判所が常に適否を判断できる」として、審理の対象になるとの判断を示した。「裁判所の審理の対象外」としていた昭和35年の最高裁判例を60年ぶりに変更した。 過去の判例に基づいて原告側の訴えを却下した1審仙台地裁判決を取り消し、審理を地裁に差し戻した2審仙台高裁判決が確定した。15裁判官全員一致の結論。 最高裁は出席停止処分の適否をめぐる35年の大法廷判決で「内部規律の問題として裁判で扱うことが適当ではない」と指摘。議員の身分を失う除名以外の処分は、裁判の対象から外すべきだとの判断を示していた。 大法廷は「議員は、憲法上の住民自治の原則を具現化するため、議事に参与して住民の意思を反映させる責務を負う」と指摘。出席停止処分になれば「議員としての中核的な活動ができず、住民の負託を受けた議員の責務を十分に果たすことができない」とし、議員活動の制約の大きさを考慮すると「適否がもっぱら議会の自主的な解決に委ねられるべきとはいえない」とした。 処分の取り消しを求めたのは宮城県岩沼市議会の元市議、大友健氏(71)。平成28年の議会運営委員会での発言を理由に、9月定例会を出席停止とされ議員報酬も減額された。判決後、大友氏は「画期的な判決。不当な処分が繰り返されている地方議会もあり、懲戒処分が抑制的に判断されていくのではないか」と話した。市は「代理人弁護士から報告を受けた上で対応していく」としている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース