宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、地球観測衛星として最も低い高度167キロを飛んだ「つばめ」が、ギネス世界記録に認定されたと発表した。カギを握ったのは、探査機「はやぶさ2」でも使われているイオンエンジンだ。
電波などで地球を観測する衛星は通常、高度600~800キロの軌道を飛ぶ。高度300キロ以下は「超低高度軌道」と呼ばれ、観測の解像度が飛躍的に高くなる一方、通常の軌道と比べて大気の抵抗が1千倍大きく、大量の燃料が必要なため、長期間運用する衛星には不向きだった。
つばめは、高さ約1メートル、幅約5メートル、奥行き2・5メートルで光学カメラなどを搭載し、2017年12月に打ち上げられた。今年4月に高度約270キロに到達後、徐々に高度を下げ、9月23日から7日間、高度167・4キロの軌道を飛行した。
JAXAによると、これほど低い高度を飛行し続けた衛星は世界で初めて。過去の最低高度は、欧州宇宙機関の衛星による高度224キロだという。
つばめが軌道維持に使ったイオンエンジンは、電気の力で推進力を生み出すタイプで、小惑星「イトカワ」から試料を持ち帰った初代「はやぶさ」が実証した技術だ。推力は1円玉を動かせるほどの力しかないが、通常のガスエンジンに比べて燃費が抜群に高く、長時間運転する衛星にぴったりだとして採用された。
「新規の軌道を開拓できた」と…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル