地球1周分、8の字に周回 ハリオアマツバメ渡りルート

 季節により北海道やオーストラリアなどを周回する渡り鳥「ハリオアマツバメ」の渡りルートを、酪農学園大学(北海道江別市)などの研究チームが突き止めた。繁殖地の一つ北海道十勝地方で、ハリオアマツバメに小型移動記録機器を取り付けることに成功。東アジア、東南アジア、オセアニアを「8」の字を描くように、地球1周分の長い旅をしていた。

 ハリオアマツバメは全長約20センチ、羽を広げた幅が約40センチ。分類学上、ツバメ(スズメ目)とはまったく別のアマツバメ目に属する。水平飛行時の速さは、鳥類トップクラスの時速170キロにも達するといわれる。日中に活動しているときは常に空を飛び続ける。夏は本州の中部地方以北に生息し、樹洞(じゅどう)に巣をつくって繁殖する。こうした生態により、観測例が極端に少なく、渡りルートは謎に包まれていた。

 酪農学園大の森さやか准教授(鳥類生態学)と、長崎大慶応大などによる研究チームは、2015年からハリオアマツバメの研究を始めた。18年、十勝地方の生息地に設置した巣箱に巣をつくった4羽に、0・7グラムほどの移動記録装置を取り付けた。翌年に再び戻ってきた4羽から記録装置の回収することに成功した。

 それによると、秋の渡りは、8~9月ごろ北海道から南下し、10月ごろ九州から朝鮮半島へ渡る。さらに中国へ向かい、フィリピンニューギニアを経て、11月にはオーストラリア東海岸に到着する。12~3月をそこで過ごす。

 春の渡りは、4月ごろからオーストラリアを北西に移動しながら、インドネシアベトナム付近を経て、5月ごろ台湾から日本へ渡ってくることがわかった。総移動距離は地球1周に当たる約4万キロに及ぶ。

 森准教授によると、渡り鳥の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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