地震から5日後の女性救出 救助の隊員「生命力を前に熱い気持ちに」

 能登半島地震の被災地に派遣されていた福岡県警機動隊の隊員約80人が3日間の任務を終え、帰任した。甚大な被害が広がるなか、倒壊した木造家屋から90代の女性を救助した隊員らが10日、取材に応じた。

 隊員は5日に被災地に入ると、安否不明者についての聞き込みを開始。翌日正午ごろ、石川県珠洲市で住人が逃げ遅れた可能性が高い民家があると避難所で聞き、現場へと急いだ。

 その数時間後だった。

 「発見っ」

 無線に隊員の声が飛び込んできた。1階部分が押しつぶされた2階建て木造家屋の中で、仰向けの状態の女性を見つけた。

 牧朔太郎巡査(23)らが窓から室内に入ると、女性は沈み込んだ2階の床に足を挟まれていた。地震の発生からすでに5日。女性の手は冷たかった。「大丈夫ですか」「家族が待っていますよ」「頑張れ」。呼びかけると、まばたきやうなずく反応があった。女性は徐々に「あー」「うー」と声を出せるようになった。

 警視庁の隊員も加わり、覆いかぶさった2階床部分の木材をのこぎりやバールで取り除いた。余震で作業を4回中断したが、7時間以上かけて救出した。

 救出時の気温は10度にも満たず、冷たい雨が降っていたが、牧巡査が制服の下に着ていたシャツは汗まみれだったという。

 不明者の生存率が下がる72時間の壁を越えての救出に、初めて地震の被災地で活動したという牧さんは「頑張っている生命力を目の当たりにして、気持ちが入って、絶対に救助しなきゃいけないと熱い気持ちになった」と振り返った。

 帰任後、石川県警の担当者から「女性の容体は安定しています」と連絡があった。現場の班長を務めた広瀬啓太警部補(32)は「無事に助けることができて、本当によかった」と話した。(伊藤未来)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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