福島県沖で先月16日に起きた地震の後、不通となっていた東北新幹線の郡山―福島間が2日、臨時ダイヤで運転を再開した。通常の半分ほどの本数だが、半月ぶりに東京―福島間が直通となった。あわせて山形新幹線も東京までの直通運転を再開。福島駅と山形駅の新幹線ホームは、久しぶりににぎわった。
この日、朝日に照らされたJR福島駅の新幹線ホームは、スーツケースや大きな荷物を手にした人たちが行き交っていた。新幹線が到着するたび、多くの乗客が乗り降りした。
間もなく都内に転勤する仙台市の会社員女性(24)は、住まいを選ぶために東京へ行くという。朝4時に起きて在来線で1時間半かけて福島まできて、9時過ぎの上り新幹線に乗り込んだ。「福島まで復旧したのはよかったけど、まだ不便ですね。早く仙台から乗れるようになってほしい」
一方、新庄―福島間で折り返し運転をしていた山形新幹線「つばさ」は、通常の75%にあたる上下計24本の臨時ダイヤで東京まで運転を始めた。
群馬県太田市のガードナー菜穂子さん(41)は、小学校3年の長男陽輝(はるき)君(8)と山形駅で上り「つばさ258号」に乗ろうとしていた。地震の後、新幹線と在来線を乗り継いで山形市内の祖父母宅に帰省し、直通運転の再開を待っていた。親子は「行きは車内がぎゅうぎゅう詰めでしんどかったが、きょうは座れるのでうれしい」と話した。
山形市の伊藤智彦さん(47)と妻の恵里奈さん(46)は、新幹線が大好きな長男翼玖(たすく)君(3)とともにホームの新幹線を見物にきた。親子3人で直通運転の再開を喜んでいた。
東北新幹線は、地震の際に東京発仙台行きの「やまびこ223号」が脱線したほか、あちこちで高架橋や電柱の損傷が見つかり、那須塩原―盛岡間で運転を見合わせた。約1週間後に那須塩原―郡山間と一ノ関―盛岡間で運転を再開したほか、脱線した車両を移動させるなどして復旧作業が進められている。
JR東日本によると、東北新幹線の残る不通区間のうち、仙台―一ノ関間は4日に、福島―仙台間は20日前後にそれぞれ再開し、全線が復旧する見通しだ。(福地慶太郎、辻岡大助)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル