地震被害の熊本城「第三の天守」の石垣、大規模解体含めて修理検討へ

杉浦奈実

 熊本地震で被害を受けた熊本城の修復について話し合う検討委員会が1日、熊本城であった。国の重要文化財で、「第三の天守」とも呼ばれる宇土櫓(やぐら)と、それに隣接する続櫓の下の石垣について、大規模解体して修理する案も含めて検討することになった。

 石垣は2016年の熊本地震で一部に膨らみが生じた。宇土櫓は慶長年間の創建と伝わり、熊本城の築城当時の姿を今に伝える。それを支える石垣は大部分が江戸期に修理された可能性があるものの、やはり文化財として貴重だ。

 そのため、これまでは石垣を解体せず、石垣の前に新たに石垣をつくって膨らみを押さえるような工法が検討されてきた。

 ただ、石垣を安定させるために必要な大きさなどを詳しく調べると、新たな石垣を設けることで景観に大きな影響がでることや、新たな石垣の重みによって、下にある空堀の遺構、さらに、埋まっている石垣にも影響が出る可能性がわかったという。

 そのため委員会では、膨らみ部分を中心に大規模に解体して修復する方法も含め、改めて検討することになった。委員からは「何とか石垣を解体せず守ることはできないかと考えてきたが、影響が大きく、しかたがない」などの意見がでた。

 市は宇土櫓の復旧について、32年度をめざしている。(杉浦奈実)

熊本城よ、よみがえれ 石垣修復プロジェクト

2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城の石垣。名城の伝統を守りながら、どうやって修復し、未来につなげていくのか――。そんな困難な課題と膨大な作業に挑む職人や研究者たちの物語です。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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