第102回全国高校サッカー選手権大会で、神奈川県代表の日大藤沢高校は昨年の大みそか、川崎市の等々力陸上競技場であった初戦の2回戦で姿を消した。昨夏の全国高校総体で4強入りし、期待が高まっていただけに悔しい結末だった。しかし、チームの物語はこれで終わらなかった。
12月31日、後に準優勝する近江高校(滋賀県)と対戦し、1―1からのPK戦を3―4で落とした。「目標は日本一だったので残念な結果。でも選手は素晴らしいゲームをしてくれた」。佐藤輝勝監督(45)はそう感じた。
宿泊していた選手たちは元日の午前中に学校に戻って解散した。その日の午後8時15分ごろ、静岡県三島市の実家に帰省していた佐藤監督のスマートフォンが鳴った。サッカー部の副部長、3年生の有田海志(かいじ)さんからだった。
約4時間前の午後4時過ぎ、石川県の能登半島を地震が襲った。同県代表の星稜高校は2日に試合を予定していた。X(旧ツイッター)に星稜の応援団が地元から来られないことが書き込まれていた。
「どうにかなりませんか」
「応援幹部出番だぞ」
午後7時半ごろ、日大藤沢の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル