大気が不安定になった影響で、埼玉県北部では12日夕から、猛烈な量の雨が降った。同日夕から夜にかけて同県東松山市、坂戸市、鳩山町、嵐山町、越生町、毛呂山町で1時間に約100~120ミリの雨が観測され、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を出した。
熊谷地方気象台によると、鳩山町では3時間の降水量が観測史上最大の263・5ミリに達したという。
大雨に伴う土砂災害の恐れがあるとして、県によると、ときがわ町が午後7時半に町内全域に避難指示を出したほか、東松山市は同8時15分に住民に避難指示を出した。鳩山、越生、ときがわの各町では避難所を設置した。
午後8時すぎ、避難所となった東松山市の高坂丘陵市民活動センターには、市民5人ほどが避難した。近くには越辺川の支流の川があり、はんらんする恐れがあるという。男性(78)は「自宅前の川が増水してあふれそうになった。心配だ」と話した。
県によると、ときがわ町で土砂崩れが発生し、少なくとも5棟が被害を受けたという。
西入間広域消防組合によると、鳩山町で、道路の冠水により車の中に取り残された人から救助要請が少なくとも3件寄せられた。その後、自主的に避難したり、消防に救助されたりするなどして、いずれも無事だった。「土砂崩れの恐れがある」との通報も相次ぎ、越生町内からも車内に取り残された人がいるとの通報があるという。
東松山市などを所管する比企広域消防本部によると、「浸水で家のドアが開かず出られない」との救助要請が少なくとも1件あったという。
NEXCO東日本によると午後6時50分から、関越道下り鶴ケ島インターチェンジ(IC)―東松山IC間(約10キロ)を通行止めにした。午後8時10分から上り線も通行止めとした。
JR東日本高崎支社によると、12日午後6時ごろ、八高線明覚駅構内の線路が冠水し、高麗川―小川町駅間の上下線で運転を見合わせた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル