「問題を徹底的にあぶり出す」「膿を出し切る」。社長を退く岩根茂樹氏は昨年10月の記者会見でこうした強い表現を繰り返し、第三者委員会の調査に協力する姿勢をアピールしていた。にもかかわらず、関電は14日朝に報告書を受け取ってからわずか1時間後に臨時取締役会などを開き、社長交代を決めた。
癒着の指摘や再発防止に向けた提言が盛り込まれた報告書を読み込むこともなく、関電経営陣は森本孝新社長を誕生させたことになる。トップ退任後の経営空白を少しでも早く埋めようとする姿勢が透けてみえる。調査報告書が指摘する「自社の業務を滞りなく行うことが至上命題」という、関電の企業風土そのものではないか。
関電は所有する11基の原発(4基は廃炉が決定)を安定した「ベースロード電源」として、東京電力福島第1原発の事故後も積極的に再稼働を推し進めてきた。金品を受け取っていた幹部らには、福井県高浜町の元助役との関係を切ると「原発運営や再稼働に支障が生じるのではないか」という懸念があったという。
しかし、原発を舞台にした金品受領問題が持ち上がり、利用者や立地自治体の大きな不信感を招いた。今夏以降、計画通りの再稼働に向けた地元合意は暗雲が立ちこめ、関電自ら、原発を「不安定」な電源に追い込む事態となった。
会長と社長が引責辞任しただけで、長年培われた企業体質は本当に変わるのか-。疑念を払拭するには、実効性ある再発防止策をつくることが不可欠だ。(岡本祐大)
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース