日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)の約91億円の役員報酬を有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反の罪に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の公判が2日、東京地裁であった。検察と司法取引した大沼敏明・元秘書室長(61)が証人出廷し、開示を免れた報酬を退任後に支払うという仕組みはケリー元役員の発案だと証言した。
検察側は、ゴーン元会長らは2010~17年度の計約170億円の報酬のうち、後払いにすることにした約91億円の報酬を開示しなかったとみている。
大沼氏は、この「未払い報酬」を支払う方法として4案をまとめた11年3月作成の文書について説明した。文書は「ケリーさんの指示で作成した」と述べ、後に元会長が採用した「退任後に相談役報酬として支払う」案は「ケリーさんのアイデアだ」と証言した。
そのうえで大沼氏は「確定した報酬を違う名目で支払うことになるので、本来なら開示すべきだと思っていた」と違法性を認めた。文書には各案のメリットとデメリットも明記されており、「社内外にばれないようにすることが念頭にあった」とも説明した。
また大沼氏は、志賀俊之・元COO(最高執行責任者)、小枝至・元相談役とも、元会長の報酬を補塡(ほてん)する方策を協議したと明かした。「相談役報酬として支払う方式をベースに、(2人が)ゴーンさんに提出する書面を作ってほしい」と言われ、作成したという。
無罪を主張するケリー元役員側は「未払い報酬」の存在を否定。退任後の顧問契約を検討したのは事実だが、支払いは「退任後に提供する業務の対価」だと反論している。(根津弥、酒本友紀子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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