塊肉2キロを誤注文、どうしよう!引きこもり変えた魅力

塊肉専門店「お肉ジャパン」代表・片根淳子さん

 包丁を手に向き合い、衝撃が走った。

 それが「塊肉(かたまりにく)」の専門店を開いたきっかけだ。あくまで塊。こんな料理にできるかな、こんな風に切ってみよう、どう冷凍したらいいのかな――。塊肉を前にすると、次から次に想像がわき、ワクワクした。

 母の看病などで、17年勤めた損害保険会社を辞めたのが5年前。約半年後に故郷の群馬県で母をみとり、家庭の事情で新潟市に引っ越した。喪失感から、ほぼ「引きこもり」の日々を送っていた時に出会ったのが2キロの牛肉の塊だった。

 通販で誤って注文した肉。なのに、包丁を手に向き合うと心が揺さぶられた。卸業者から肉の見方を学び、保健所とやりとりを重ね、4年前の夏にネットでの売買を中心にした塊肉専門店「お肉ジャパン」を始めた。一歩ずつ開店に近づいていく作業は、大変でもあり気楽だった。自分自身を元気づけるためだったとも思っている。

 主に2キロ前後の国産牛の塊を業者から買い付け、SNSのフェイスブックを介して売る。味はもちろん、大事にするのは見た目の美しさ。「おいしいものはきれいだし、きれいなものはおいしい」。仕入れた肉を紹介すると、全国のなじみ客から購入希望の連絡が相次ぐ。客限定ページの登録者は1300人以上だ。

 開催するイベントには、店を通じてつながった肉好きの友人らが集まる。「塊肉を前にした時の『キャー、どうしよう!』というワクワクを感じて欲しい」。人生を変えた魅力をこれからも伝えていく。(杉山歩)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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