力比べで石を持ち上げる「力石(ちからいし)」の伝統が残る千葉市の寒川神社で、約185キロの巨石が境内の土の中から見つかった。発見後、新型コロナウイルスの終息を願って実際に持ち上げられ、奉納された。専門家も「(現役の石では)全国で最大級」と驚く大きさだ。
見つかったのは昨年初め。土からわずかに露出していた石が「かなり大きいんじゃないか」と話題になり、掘り出したところ、近隣に現存する約30個を上回る大きさだった。力石に適したタマゴ形だ。
力石に詳しい四日市大学元教授(体育史学)の高島慎助さん(72)によると、力石は、力自慢の鍛錬や遊びとして、江戸時代や明治時代に全国で盛んに行われた。今も全国10カ所以上で続いている。全国の寺社には過去に使われたとみられる1万5千個以上が残り、中には600キロ以上の石もある。
力自慢に使おう
寒川神社の元宮司の粟飯原雅胤(あいはらまさたね)さん(78)によると、江戸~明治時代ごろ、神社近くの寒川港で働く水夫や荷役たちが競い合っていたという。その後、途絶えたが、JFEスチール東日本製鉄所千葉地区の人たちや千葉大生、住民が2016年に復活させ、寒川神社に連なる神明神社(千葉市)で行事を実施している。
発見された石は昨年10月、前回行事でのチャンピオンが持ち上げて、実際に奉納。粟飯原さんは「コロナ禍で大変な今だからこそ『力をつけろ』という意味で、こんな大きい石が出てきてくれたのかも」と話す。その様子は、ユーチューブ(「さし石さんが大会」で検索)で公開中だ。
この石は今後、毎年1回の行事で力自慢の挑戦を待ち受けるという。(小木雄太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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