野生動物が列車とぶつかる事故が増えている。群馬県内や埼玉県北部などを管轄するJR東日本高崎支社管内では昨年、動物が絡む事故が過去最多になった。特に目立つのがシカだ。担当者は「動物が相手とはいえ、仕方ないでは済まされない」。あの手この手で有効策を見つけ出そうとしている。(吉村駿)
赤城山のふもとの群馬県渋川市赤城町。9月10日午後7時半ごろ、上越線水上行きの下り電車が線路内にいたシカとぶつかった。JR高崎支社は安全確認のため、上下線で一時運転を見合わせた。計3本の電車に最大1時間8分の遅れが出た。
上越線を含め、県内や埼玉県北部は山間部の路線が多く、動物との衝突が続く。同支社によると昨年度、動物との衝突が84件発生した。2020年度の82件を上回り、過去最多となった。路線別では、埼玉県北部と県内を結ぶ八高線が23件と最多で、上越線が22件と続いた。吾妻線や高崎線でもそれぞれ10件以上あった。
シカにイノシシ、カモシカ
衝突した動物のほとんどがシカだ。84件のうち62件と事故全体の7割以上を占めた。他にもイノシシやタヌキ、国の特別天然記念物ニホンカモシカとの衝突もあった。いずれも夕方以降、暗い時間帯になってからの衝突ばかりだという。
衝突で乗客がケガをしたり、列車が壊れたりしたことはない。多くの場合、30分ほどで運転再開が可能だが、同社鉄道事業部の宮崎政孝さん(42)は「運行再開までの作業には危険が伴う」と説明する。
衝突が起きた後の流れはこうだ。
生きたままの動物も
運転手はまず列車を停車させ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル