増える外国語の110番 支える指定通訳官、同時通訳対応は14言語

宮坂知樹

 新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和され、新潟県内を訪れる外国人観光客も増えたことに伴い、日本語がわからない人から県警に入る110番通報も急増している。年間を通じて7件だった昨年から、今年は2月末時点ですでに10件に上る。そんなときに活躍するのが「指定通訳官」の警察官。通報を受ける警察官と通報者の通話に入り、同時通訳を担っている。

 2月末、外国語の110番通報に対応する訓練が県警本部で行われた。米国籍のスキーヤーがコースから外れて遭難したという想定だ。

 「新潟県警察です。事件ですか? 事故ですか?」

 「Please help me.I have lost my way(助けて下さい。道に迷いました)」

 通信指令室の警察官は英語で名前と国籍を尋ね、すぐに指定通訳官の野沢幸作警部補につないだ。3人同時に通話できるシステムを利用し、野沢警部補の同時通訳を介して、現在地や服装、けがの有無などを尋ねていった。

 県警の指定通訳官は73人。英語のほかロシア語やスペイン語、アラビア語など14言語に対応し、夜間や休日でも出先や自宅から携帯電話で同時通訳にあたる。110番以外にも、取り調べの通訳や、捜査で必要な海外への照会手続きなども行う。

 野沢警部補の専門は英語。最近では1月、妙高市内でスキー場外の未整備のバックカントリーを滑っていたフィンランド国籍のグループが遭難した際に対応した。大雪で国道や高速道路が通行止めになり、来署した中国籍の人の道案内もした。

 野沢警部補は「私たちに通報するときは、困って最後に頼ってきているということ。信頼されているという責任を感じて、正確に、わかりやすく伝えることを心がけている」と話す。(宮坂知樹)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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