壊滅した大槌に現れた「お好み焼き仙人」 店主と紡いだ12年の物語

 岩手県大槌町の三陸鉄道大槌駅前に昨年末、居酒屋「みかドン」が3年ぶりに復活した。そして、メニューに「広島風お好み焼き」が新たに加わった。三陸沿岸の漁師町になぜ? 記者が店主に理由を聞くと、仙人のような男性とのつきあいを話し始めた。

 4月初めの夕方、関西出身の私はふと粉物が食べたくなって、赤く塗られた真新しいガラス戸を開けた。

 2枚の大きな鉄板が目に入った。メニューには「広島風お好み焼き」があった。気になって注文した。

 店主の柏崎浩美さん(62)が調理を始めた。薄く敷いた生地の上に千切りキャベツを山盛りにして、豚肉をのせる。不慣れなのか、写真入りのレシピをちらちらと見ていた。

 「なんで広島風を?」

 店主は、2011年のことを振り返り始めた。

 3月の津波で柏崎さんは経営していた居酒屋が流されたが、支援に来た人たちが屋台をつくってくれて、7月に商売を再開できた。壊滅した大槌の市街地で復活した最初の店だった。

 ある夜、広島市からボランテ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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