小川崇
JR東日本の基幹変電所(埼玉県蕨(わらび)市)で起きた火災で、火元とみられるトランス室にあった変圧器は変電所内部の設備用だったことが、同社への取材でわかった。所内には首都圏の鉄道に送電するための別の変圧器があり、火災による直接的な被害はなかったとみられるが、安全のために停止させたという。同社は機器のトラブルが出火原因とみて、詳しく調べている。
火災は10日午後0時50分ごろに発生。変圧器などの電気設備を収容しているトランス室が燃え、約30分後にほぼ消し止められた。火災の影響で、山手線など首都圏の10路線が停電により運転を見合わせ、23万6千人に影響が出た。
同社によると、火災の発生直後、変電所を遠隔で監視している指令室で火災報知機の鳴動を確認した。火元とみられるトランス室は、照明など所内の設備向けに使う変圧器が納められていた。近くには鉄道向けの高圧の変圧器がある別の施設があったが、「システム上つながっており、火災のため、安全上、止める必要があった」という。同社は出火原因のほか、発生時の対応や復旧手順の検証などを進める。
埼玉県警によると、変電所の出入り口やトランス室はいずれも施錠されており、外部から何者かが侵入したような痕はないという。また、同社は7日夜に起きた最大震度5強の地震後、変電所内を点検したが、異常は確認されなかった。
火災が起きた蕨交流変電所は「基幹変電所」と呼ばれ、東京や埼玉にある複数の変電所を経由して電車に送電していた。火災を受けて別の基幹変電所に切り替えて送電を始め、大半の路線は約1時間後に順次運転を再開した。(小川崇)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル