夏の終わりに雪を見た 雪の結晶3千枚集めた「雪博士」が残した名言

 夏の終わりに、雪を見たくなった。訪ねたのは、石川県加賀市の「中谷(なかや)宇吉郎 雪の科学館」。世界で初めて人工の雪をつくり、「雪は天から送られた手紙である」の名言で知られる。そんな「雪博士」の業績と素顔を紹介している。

 中谷博士は1900年、市内片山津の呉服・雑貨店の長男として生まれた。金沢の第四高等学校を卒業し、東京帝国大学理学部、理化学研究所寺田寅彦に師事し、実験物理学の道に進んだ。北海道帝国大学に赴任し、32年に教授になると雪の研究に没頭。3千枚もの雪の結晶の写真を撮り、どんな気象条件で生まれるのか、実験を続けた。

 雪が「天から送られた手紙」とは何か。雪の結晶の形は上空の気象条件(気温と水蒸気量)によって決まる。だから地上に降った雪の結晶を観察すれば、上空の気象条件がわかる。そのことを「手紙」という言葉で詩的に表現した。

 そして36年3月、博士は北大の実験室で人工雪の生成に成功した。米シカゴで氷の特性も研究し、アラスカやハワイなどでの調査にも赴いた。62年に61歳で亡くなった。「人には良くしてあげるんだよ」が最期の言葉だった。

 科学館は94年11月に開館…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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