太平洋に面した北海道根室市桂木地区の一角に、旧日本陸軍の小型防御用陣地「トーチカ」が二つ、色とりどりに咲き競う夏の花々に囲まれて立っている。
トーチカは、太平洋戦争末期の1943(昭和18)年暮れ、警備大隊長として根室に赴任した大山柏少佐が建設の指揮を執った。少佐は元老、元帥の大山巌と、明治政府初の女子留学生の一人・山川捨松夫妻の息子で公爵だった。
大山少佐は赴任当時54歳で、予備役入りして考古学の研究に専念していたが、戦況悪化で再招集された。トーチカ建造の資材も資金も足らず、自身の家を抵当に入れて工面するなど労苦の多かった日々が、「応召日誌」や戦後の回想録に生々しく描かれている。
根室半島には各地にトーチカ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル