黄澈
三重県のホームページ(HP)に掲載された「外国人の不法就労・不法滞在の防止について」のお知らせで使ったイラストに対し、SNSで「差別的」などの批判が相次ぎ、県がこのイラストを削除したことが28日、分かった。
お知らせは、県警本部生活環境課が作成し、今月1日、県のHPにアップした。不法滞在の外国人の多くが「不法就労しているものと思われる」と指摘し、地域住民に警察への情報提供を求めるなどの内容で、イラストには「在留資格 調理師」のカードを手にした男性が、資格外の工事現場で働く人の姿で笑う様子などが描かれていた。
これに対し、ツイッターなどでは「排他主義的な悪意が見える」「外国人への偏見をあおる」などの批判が相次いだ。HPを管理する県の職員がこれに気づき、26日朝に急きょ削除を決めたという。
県警本部の担当者は「他県の警察関係者が作成したイラストを使用した。差別助長の意図はなかった」と説明。HPを管理する県広聴広報課の担当者は「県警から原稿を預かった際に、人権上問題があるのではとの意見も一部にあったが、不法滞在の事案があるのも事実で、そのまま掲載した」と話した。
社会問題を巡る外国人の描写では、NHKの国際情報番組が公式ツイッターで投稿した米国の人種差別抗議デモについてのアニメ動画が、黒人を粗野な様子で描き、「差別的」との批判を浴びた事例などがある。
ヘイトスピーチ問題に詳しい宮下萌弁護士(東京弁護士会)は「マイノリティーは犯罪に加担する危険な存在とのイメージを植え付ける典型的なヘイト事例。本来、ヘイトの解消に当たるべき公的機関による行為だけに、問題はより深刻だ」と指摘している。(黄澈)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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