聞き手・岡田玄
外国人労働者の受け入れをめぐる議論が続いている。技能実習制度を見直して職場を移れるようになると、地方の事業者が人手不足になるとも言われる。どのような政策が必要なのか。移民研究が専門の高谷幸・東京大学准教授に聞いた。
1979年生まれ。東京大学准教授(社会学・移民研究)。著書に「追放と抵抗のポリティクス」、編著に「移民政策とは何か」など。
――外国人労働者の受け入れについて見直しが検討されていますが、事業者側には不満の声もあります。
技能実習制度に依存したことで、根本的な解決を先送りにしてきました。誰かの人権を制限することによる地域の成長は、果たして健全なのか。特定技能制度の導入は、場当たり的に労働者性をごまかしながら受け入れるのでは持たないという共通認識にもとづいてなされたはずです。
技能実習制度の見直し議論では、転職が自由にできるようになることが、ポイントの一つです。みんなが東京などの大都市に行ってしまうのではないかという不安の声が、事業者側から聞かれました。
でも、これは外国人に限らず日本の労働者でも同じです。外国人も日本人も、きちんと働ける体制を地域で作っていくしかない。それは移民労働者政策としてだけでなく、自治体や産業界も取り組むべき対策であるはずです。
確かに都会の方が給料は高いですが、生活費も高い。そういうことまで考えると、都会に行くことは必ずしも経済的なメリットばかりではありません。
日系人に限らず定住する大き…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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