様々な事情を抱えた人たちが学び直すために通う「夜間中学(中学校夜間学級)」。近年は外国籍の生徒らが8割を占める。大阪市の夜間中学ではここ数年、「口コミ」で入学したネパール人の生徒が急増。外国人が日本語を学ぶ学舎(まなびや)としての役割が増している。
文部科学省の2020年1月の全国調査では、夜間中学生1729人のうち外国籍の生徒らは約8割。国・地域別でネパールは19・7%(272人)で2番目に多い。中国(38・4%)に次ぐ。
大阪市によると、市内のネパール人は20年末で2719人と10年前の395人から約7倍に増えた。
大阪市の天王寺夜間中学に通うクンワル・ラクシミ・バスネットさん(27)は、知り合いのネパール人から夜間中学を教えてもらい、昨年5月に入学した。入学前は日本語がほとんど話せず、買い物にも苦労。今は日本人の友人に驚かれるほど上達した。
ここ数年、スパイスカレーがブームになっている大阪では、ネパール人が営むカレー料理店も多い。
トム・バハドゥル・ダルラミさん(42)も天王寺夜間中学に通うネパール人の友人から勧められて入学した。6年前に来日。大阪市内のホテルにあるレストランで働いており、ネパール料理に近いとされるインド料理を調理するなどしてきた。コロナ禍のため、一時帰国した妻子が再入国できず2年以上会えない中、日本語の勉強に力を入れている。「習った日本語をネットで調べるのが楽しい。だいぶ日常生活も楽になりました」と語る。
大阪市教委は現在、24年春に夜間中学を四つから三つに統廃合することを計画中だ。担当者は「外国人生徒らに日本語を教える教員が不足していることなどが理由」と話し、限られた教員数で効率的に教える体制を作りたい、と説明している。(安井健悟、宮崎亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル