新型コロナウイルスの感染拡大後、初めての年末年始がやってくる。収入を絶たれ、例年以上に生活に困窮する人が増えると懸念されているが、例年この時期は行政による相談窓口が閉まることも多い。支援団体や国は「切れ目のない支援」の実現に向けて動いている。無料の食事提供や生活相談の時間や連絡先、無利子で生活費を貸し付ける仕組みなどをまとめた。
年越し大人食堂 1・3日
東京都内では、来年1月1日と3日の正午から午後6時まで、聖イグナチオ教会(千代田区)で「年越し大人食堂」が開かれる。貧困や雇用などの問題に取り組む30以上の団体でつくる「新型コロナ災害緊急アクション」が主催し、無料で各200食を手作りで提供する。今回が2度目で、昨年度の2日合計100食程度から大幅に増やした。
コロナ禍では飲食業やサービス業を中心に、非正規の職を失うなど、若年層や女性からの相談が増えているという。担当者は「これまでになく広範囲に貧困が広がっている」と危機感を募らせる。
年末年始は日雇いの仕事も減り、生活に困る人がさらに増えることが懸念される。支援団体の一つ「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は、従来の「炊き出し」には若年層や女性は訪れにくかったと指摘し、「いろいろな世代が来やすい場にしたい」と呼びかける。
感染対策のため、食事はパックなどで持ち帰ってもらう。生活や仕事の相談にも乗り、住まいがない人には東京都が用意するビジネスホテルを紹介する。自治体の窓口が開く1月4日以降は、生活保護の申請も支援する。
相談会は31日午後3~6時、東池袋中央公園(豊島区)でも開き、食料やマスクを配る。埼玉、千葉、東京、神奈川からの相談はホームページ(https://corona-kinkyu-action.com/
弁護士らの電話相談 31~3日
一方、12月31日~1月3日には、全国の弁護士らでつくる実行委員会が「いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」を開催する。法律家ら専門家が生活や労働など幅広い相談に無料で応じる。午前10時~午後7時で、フリーダイヤル(0120・157・930)。
また、生活保護を申請しやすくしようと、「つくろい東京ファンド」はオンラインで申請できるウェブサイト(https://fumidan.org/
政府も危機感を強めている。田村憲久厚生労働相は11日の閣議後会見で「年末年始にお困りになられた方々が、そのまま途方に暮れないような体制作りをお願いしている」と述べた。厚労省は生活費の特例貸し付けの申請期間を12月末から来年3月末まで延長するなどの支援を決め、自治体にも一時的な宿泊場所の確保など対策の強化を求めている。
生活資金貸し付けは申請期間延長
延長するのは、無利子で生活費を貸し付ける「緊急小口資金」と「総合支援資金」の特例対応の申請期間と、支払いが難しくなった家賃を補助する「住居確保給付金」を受給できる期間。8日に閣議決定した新型コロナ対応の経済対策に盛り込んだ。
緊急小口資金は当面の生活費が必要な休業者らに最大20万円を1回、総合支援資金は主に失業者に最大月20万円を原則3カ月(最大6カ月)、いずれも無利子・保証人不要で貸し付ける。返済時に所得の減少が続き、住民税が非課税の世帯になっている場合は返済を免除する特例もある。
住居確保給付金は、受給期間を最大9カ月から12カ月に延長した。ただし、10カ月目以降はハローワークで求職の申し込みが必要となり、資産要件も厳しくなる。
年末年始も電話で相談できる。特例貸し付けは0120・46・1999、住居確保給付金は0120・23・5572で、午前9時から午後9時まで受け付ける。
宿泊場所の確保、自治体に要請
厚労省は、自治体にも支援の強化を求めている。11月24日に出した事務連絡では、新型コロナの影響で年末に向けて解雇や雇い止めの増加が予想されるとして「迅速な対応が例年以上に必要になることが考えられる」と指摘。年末年始に相談体制や一時的な宿泊場所の確保を求めた。
また、厚労省は5月から全国80のハローワークに専門の相談員を配置し、困窮する離職者らを自治体の支援窓口とつなげる体制も整えている。年末に向け、改めて支援の徹底を呼びかける。
厚労省のホームページでは、年末年始に開所している相談窓口(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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