倉富竜太、中島健
大分県職員だった男性が2018年、庁舎内で自殺したことをめぐり、地方公務員災害補償基金県支部が民間の労災にあたる公務災害と認定したことを24日、男性の遺族が明らかにした。基金は「公務を有力な原因として発症した精神疾患の経過として自殺に至った」とし、長時間労働と自殺との因果関係を認めた。遺族側は県に対し、損害賠償を求めて提訴する方針。
亡くなったのは富松大貴さん(当時26)。遺族側によると、富松さんは2014年、県職員に採用された。18年4月に福祉保健企画課に異動し、主事として決算業務を担当。本格的な決算業務は初めてだったという。
富松さんは18年6月9日夜、職場で自殺した。遺族側は亡くなる直前の1カ月間の時間外労働時間が、労働災害認定基準で「過労死ライン」と呼ばれる100時間を超える114時間に達するなど「深夜残業や休日出勤を繰り返し、うつ病になった」と主張。19年6月に公務災害認定を請求した。
基金は今月21日付の通知で、富松さんの発症前1カ月間の時間外労働を102時間と認定。業務上の困難に直面し、締め切りを過ぎる中で時間外や12日連続の勤務で「強度の精神的または肉体的負荷が生じた」とし、公務災害と認めた。一方、周囲の支援や引き継ぎが不十分だったという遺族の主張について、基金は「周囲の支援を継続的に受けていた」「引き継ぎが不十分だったとは認められない」などと認めなかった。
24日の記者会見で、父親の幹夫さん(62)は「結論が出れば、息子が何で死んだのかがわかると思っていたが、疑問は深まるばかり」。代理人の平山秀生弁護士は「継続的支援があったらそこまで精神的に追い詰められたとは思えない。承服できない」と話した。
県人事課の渡辺淳一課長は「自殺を食い止めることができなかったことは残念。認定を真摯(しんし)に受け止め、働き方改革を引き続き進めていきたい」と述べた。(倉富竜太、中島健)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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