大地震で泣いた知的障害の娘、避難をあきらめた日から

連載「共生とは やまゆり園事件から」:4

 共生を掲げながら、過去の災害では障害のある人や動けない高齢者が犠牲者の多くを占めてきた。障害のある人を取り残さないために、どうすればいいのか。大分県別府市で挑戦が始まり、全国に広がっている。

 ガタガタ……。別府湾をのぞむ大分県別府市のアパートが揺れ始めると、重度知的障害のある潮月ゆみさん(32)は、大声で泣き始めた。

 2016年4月の熊本地震で、大分県では震度6弱の地震が起き、別府市内の32カ所の避難所に最大5千人が避難した。余震が続く中、母美恵子さん(58)は、慣れない環境では騒いで寝られない娘を案じて「迷惑になる」と避難所には行かず、自宅で過ごした。

 この年「別府モデル」と呼ばれる取り組みが始まった。障害者と健常者がともに避難訓練や避難所運営を作り上げていく。テーマは「誰ひとり取り残さない防災」。

 契機は07年に同市内で起きた火災と地震だ。マンション火災で車いすの障害者が犠牲になった。別府を震源とする最大震度4の群発地震では揺れは60回超に及んだ。多くの障害者が自宅やコンビニの駐車場で避難生活を送った。

 障害当事者でつくる団体を中心…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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