1971年に起きた渋谷暴動事件で警察官を殺害したとして、殺人罪などに問われた過激派「中核派」の構成員・大坂正明被告(73)の公判は18日、東京地裁で被告人質問が始まった。被告は「(警察官を)殴っていません」などと話し、改めて関与を否定した。
大坂被告は昨年10月の初公判では「無実であり無罪です」と起訴内容を全面的に否定していた。
起訴状などによると、大坂被告は71年11月14日午後、東京都渋谷区であった沖縄返還協定の批准に反対するデモに参加。他の学生らと共謀して警視庁渋谷署神山派出所付近で警察官3人に火炎瓶を投げてやけどを負わせたほか、新潟県警から派遣されていた中村恒雄巡査(当時21)を鉄パイプで殴り、火炎瓶を投げつけて殺害したとされる。
この日、弁護人から質問を受けた被告は、倒れた機動隊員を30~40人のデモ隊が囲んでいる様子が、4~5メートル離れた位置で人垣の隙間から見えたと説明した。一方、巡査が殴られたり火炎瓶を投げられたりした様子は「見ていません」と話した。
「殴っていません」
客観証拠が乏しい中、検察側は、デモに参加した他の学生らの「被告が殺害現場にいるのを見た」という目撃証言を立証の柱とし、その信用性が公判の最大の争点になっている。弁護側は、被告は学生らとは面識はなかったと主張している。
弁護人が「(デモに参加した)4人が法廷や、事件後の取り調べで『(被告が)鉄パイプで殴っているのを見た』と話しているが、殴りましたか」と問うと、被告は「いえ、殴っていません」と否定した。
大坂被告は事件から46年近く経った2017年に逮捕された。自身が指名手配されたことは72年2月にラジオのニュースで知ったといい、「不当な手配だと思ってずっと戦ってきました」と述べた。逮捕までの経緯を説明する意思は「ありません」と話した。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル