磯部征紀
大型トラックやバスのタイヤが走行中に外れる事故が相次いでいる問題で、国土交通省が昨年秋以降の事故車を分析したところ、タイヤを固定するワッシャー付きホイールナットがさびなどで滑らかに回らなくなっている事例が複数確認された。国交省は、事故多発の要因となった可能性があるとみて、近く専門家の検討会を立ち上げる方針。
大型車のタイヤ脱落件数は2011年度の11件を底に増加に転じ、20年度に131件と過去最多を更新した。直近の4年間でも約2倍に急増していた。
大型車のタイヤは重さ100キロ、直径1メートルにもなり歩行者などにぶつかれば命に関わる。02年には横浜市で、部品の欠陥でトレーラーのタイヤが外れ、母子3人が死傷する事故が起きている。
国交省によると、タイヤは、ボルトとワッシャー付きナットでホイールを挟み込んで車体に固定する。ナットを回して締め付ける際、ワッシャーとの間がなめらかならナットだけが回って奥まで締まる。だが、さびなどで摩擦が生じるとワッシャーも一緒に回転してナットが締まり切らず、緩みの原因になる。ボルトとナットを清掃し、潤滑油を塗る必要があるという。
このワッシャー付きナットは、10年以降にホイールの取り付け方式が国内規格から国際規格に変わってから導入された。以前の国内規格ではワッシャーはなかった。脱落事故が増加が始まった時期とも重なるうえ、調査では古い車で脱落が起きるケースが多い傾向も確認されたという。
整備関係者の間では、ワッシャーとナットの間に潤滑油をさす必要があることは知られているが、国交省は個人や運送業者、タイヤ販売店では十分認識されていないおそれがあるとみており、業界やドライバーらに注意を呼びかけている。(磯部征紀)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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